「君はサッカーをやったほうがいい」。18歳の頃にそう言われた。
高校を卒業して千葉県のアパートで一人暮らしをしていた時期。大学に進学してからはサッカーは辞めていた。だって365日毎日サッカー。そして寮生活。レギュラーどころか学年で一番下のチーム(部員120名くらいのちょっとした強豪校にいたりした)。
もういいよね。
よくやったよ、自分。
なんて心境だったから。
そして、高校卒業と同時にアメリカ留学を決意していた。なので、英会話教室に通っていたのだ。
サッカーをやりなよ。そう言ってくれたのはその英会話教室の先生。最初にそれを聞いたとき、「なんでそんな事言うんだろう?」と思っていた。でも、直前には高校でのサッカーの話を力みながら話していたので、なんとなく腑に落ちた。。
きっと18歳の少年がここまで続けてきたサッカーをここで諦めてしまうのはもったいなさすぎる…!そう思ったんだと思う。38歳になったいまなら容易に想像がついてしまいますが…!渡米先の大学ではもう一度サッカーをやってみよう、という気持ちに切り替わっていった。
ついでに先生は「プロを目指しなさい」といった。
ということでアメリカではプロになることを意識してサッカー生活を始めてみた。ここである大きな気づきに出会ってしまう。高校時代の自分はえらい中途半端な気持ちでサッカーをやっていた、という事実。
とりま長時間なんか自主練やってればなんとかなるんじゃない?
いざ上のチームに上げてもらえば、「失敗したらどうしよう」。
自分の意志は横に置いといて当たり障りのないプレー。
そんな無責任で惰性的なマインドだった。
サッカーで上を目指すなら、上に行けるような行動をとっていかなくてはダメじゃない?
そこからぼくの逆算的な考え方が始まった。
プロってなんだ?
どんな考え方をして、
どんな技術を持ってどんな生活を送ってるんだと。
新しい環境、文化、チームメイトに囲まれてぼくはまたサッカーにどんどんのめり込んでいった。練習初日の自己紹介ではだいぶ冷ややかな目線。。だったけど、一緒にプレーした瞬間にみんなの態度は変わっていった。あからさますぎませんか…!笑
結局プロにはなれなかったけど、大事なことに気がつけた。サッカーを嫌いになりかけた理由はサッカーにはなかった。単純に向き合えていなかっただけ。とてもシンプルな理由だった。まぁそう気づけたところでプロになれるかは別の話なんですが…。とにもかくにも、サッカーと正面から向き合えた日々は本当に楽しかった。
フランス、イギリス、コスタリカ、メキシコ、ジャマイカetc…。いろんな国の選手が集まったぼくのチームは、久しぶりにプレイオフに進むことができた。初戦では得点を上げて、シーズンを通してアリゾナ州のオールスター選手にも選んでもらえた。
ここまでこれたのは、「君はサッカーをやったほうがいい」といってくれた英会話の先生のこの一言があったから。そして一緒にサッカーをしてくれたチームメイトやコーチ、いろんな文化が入り混じる国アメリカ、そして留学を了承してくれた親がいてくれたから。
正直、アメリカ留学自体をやめようかと思った時期もあった。でも思い切って海をわたってよかったと思う。
ここでは語りきれない経験ができたし、
その経験を支えてくれた友達にも出会えた。
今は家事や子育てに追われながら仕事と家を往復して、たまに部屋の一角でもくもくとキーボードを打っている。でも環境なんて結局、変えてしまったもの勝ちなのだ。
18歳のぼくがそうだったように、38歳のぼくにもまだ知らない場所がある。いつか、この部屋から飛び出して、また広い世界に揉まれながら誰にも予想できない出会いと経験を心から楽しめる毎日を送りたい。
いつまでも素人でいたい。
初めてアメリカのサッカー部の扉をノックしたときのような心で、新しい世界をノックする。
